おひとりさまの相続について

堀亜砂子
堀亜砂子

豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!

おひとりさまについて

「おひとりさま」とは一般的に


同居する人がおらず一人で
生活する人をいいます

内閣府
『令和4年版 少子化社会対策白書』*によると、

*国会図書館アーカイブ
令和4年版少子化対策白書 全体版(PDF版)


50歳になった時点で

一度も結婚をしたことがない人の割合は

1970年には

男性1.7%
女性3.3%
だったのに対し

2020年には

男性28.3%
女性17.8%
となっています。

この数値を見ると
「おひとりさま」の状態で
生涯を終える人の数は

少なくないようです。

これに

「結婚歴はあるが
子供がいない状態で離婚した人」

を加えると
その数はもっと
多いことになります。

おひとりさまが亡くなったとき

結婚しておらず
子供がいない


「おひとりさま」が
亡くなったとき

法律上

父や母など(直系尊属)が
存命であればその方々が
相続人となります。

直系尊属がいないときは
兄弟姉妹

親や兄弟姉妹が
全員亡くなっていたら

甥や姪が


相続人として
遺産を引き継ぐことになります。

「おひとりさま」の相続では


法定相続人となる

父や母

兄弟姉妹

甥や姪などと


よほど
生前の関係性が深くない限り


亡くなる直前の
財産の額を把握することなども

とても難しいのでは
ないでしょうか

税理士として

「おひとりさま」が
亡くなられたときの

相続税申告に
関与したことがありますが

亡くなられた
「おひとりさま」が

もともととても
ご兄弟が多く

さらに
そのほとんどが
お亡くなりになっていて

法定相続人は

甥や姪あわせて

なんと10人以上いらしたことから

それぞれと連絡
を取ることすら
とても大変な状況でした。

法定相続人がいない場合

ちなみに


法定相続人が
ひとりもいない方が

遺言書を書かずに
亡くなった場合


その方の遺産は

「相続財産法人」として
法人化され


「相続財産清算人**」がそれを
管理することとなります。


**令和5年4月1日の民法改正により
それまでの「相続財産管理人」から
「相続財産清算人」に名称変更されました。


「相続財産清算人」は


利害関係人または検察官が
家庭裁判所に申し立てることで
選任されます。(民法952条)

相続財産清算人の選任(裁判所ウェブサイトより)

利害関係人とは
申立てに法律上の利害関係がある者をいい
以下の人が挙げられます。

・特別縁故者
内縁の妻や、被相続人の療養介護をしていた者など

・債権者
被相続人に対し債権を有している者

・相続財産を管理している者
相続放棄をしたが、ほかに相続人がおらず
財産管理を義務付けられている者など

・不動産の共有者

・特定遺贈を受けた者


「相続財産精算人」は

相続財産や相続人を調査し

債務があった場合は
債権者に支払いをしたり

亡くなった人の
面倒を看ていた人(特別縁故者)からの
申立てを受けた審判にしたがって
特別縁故者への
財産分与の手続きをしたり


相続財産を引き継ぐ者が
誰もいなかった場合や

上記の支払等をして
相続財産が残った場合は
これを国庫に引き継いで
手続を終了します。

法定相続人がいなくても


遺言がある場合には
原則として
相続財産清算人を選任する必要はなく


遺言で指定された人や
団体などに財産を引き継がせることができます。

まとめ

「おひとりさま」が
亡くなったとき


その方に法定相続人がいれば
相続人が財産を引き継ぐことになりますが


上記のように
生前の関係性によっては


財産を把握して分け合うことは
困難ですし


法定相続人がいない場合は
相続財産清算人の選任などの
手続きが必要となることからも


「おひとりさま」の場合は特に


ご自身が遺したい人や団体などに
確実に遺産を残すことができるように

遺言書を作成しておくことが
重要といえるのでは
ないでしょうか。

この記事を書いた人

堀 亜砂子

堀 亜砂子

税理士・相続対策コンサルタント
~想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人

税理士歴24年、法人・個人含め13,000件以上の相談対応。
個人事務所、ビッグ4税理士法人、外資系事業会社、国税不服審判所、
資産税系税理士法人を経て2023年独立。

将来を約束した恋人が30代で急死、
その後も尊敬する上司の急逝、実母の他界など、
大切な人が突然この世からいなくなる経験を重ねたことから
生前に想いをしっかり伝え合い
その日のためにできる限りの備えをしておくことの
大切さを多くの人に伝えるべく活動しています。