
想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!
令和8年度税制改正要望が各省庁や業界団体から8月末には出そろい、財務省ウェブサイトにまとめられています。
これらは年末の「税制改正大綱」のたたき台へと繋がってゆくため、将来の制度を考えるうえで重要なシグナルになることを、つい先日も書きました。
金融庁からも毎年いくつかの要望が提出されますが、なかでもここ数年、資産を持つ方にとって大きな関心事となるテーマが繰り返し掲げられています。
暗号資産課税の見直し

ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)を売却して得た利益は、現行制度では雑所得として扱われ、総合課税の対象となります。
これはつまり給与所得などと合算して累進税率がかかり、最高で税率55%(所得税45%+住民税10%)にもなるケースがあるということ。
さらに、上場株式やFX取引と異なり、申告分離課税(20%)が使えず、損失の繰越控除も認められないといった制約があるため、暗号資産は「税制上不利」と感じられやすい状況にあります。
投資家や業界から改善を求める声も多く、ここ数年は金融庁から繰り返し見直しが要望されていますが、令和7年度税制改正でも結局実現せず、改正には至りませんでした。
🌟暗号資産関連の税制改正についてはこちらもご覧ください👇
金融庁からの要望の背景には、Web3やブロックチェーン関連のスタートアップを国内で育てたいという政策目的がありますが、実際、投資家の間では「税負担の大きさから海外に拠点を移す」という動きもあり、国際競争力の観点からも税制の見直しは喫緊の課題となっています。
上場株式等の相続税評価の見直し
相続税の対象となる財産に上場株式が含まれている場合、評価額は次の4つのうち最も低い金額で行われます(財産評価基本通達169)。
- 亡くなった日の終値
- その月の終値の平均
- 前月の終値の平均
- 前々月の終値の平均
(※配当落ち・権利落ちがある場合は調整規定あり。負担付贈与など一部例外では「相続開始日の終値」を用います。)
一見すると「有利な評価替えができる」ように思えますが、実態は時価そのもの(100%)で評価される資産です。
これに対し、不動産は路線価や固定資産税評価額を用いるため、公示価格(市場価格)の7〜8割程度になることが多く、相対的に「株式だけが割高に評価される」との指摘があります。
さらに、相続発生から納税期限(10か月以内)までの間に株価が大きく変動するリスクがあります。
上記の通り、相続開始前の株価の変動は評価上考慮することが可能ですが、相続が発生してしまったあとの暴落などは原則として考慮されないため、相続時には高値で評価されたものの、実際に売却すると評価額を大きく下回ってしまうようなケースでは、納税のために株式を売却しても資金が不足することになりかねません。
金融庁は平成28年度から毎年、「上場株式の相続税評価を見直して、他の資産との不公平をなくし、安定的な株式保有を促すべきだ」と要望を続けています。
最新の要望(令和8年度分)でも、恒久措置としての制度改正を求めており、長年の懸案事項であることがうかがえます。
🌟上場株式等の相続税評価についてはこちらもご覧ください👇
死亡保険金の非課税限度額の引上げ
生命保険の死亡保険金には、相続税の非課税枠があり、現行では「法定相続人の数 × 500万円」が非課税となります。
金融庁は今回の要望で、この枠に加えて、「配偶者および未成年の被扶養相続人数 × 500万円」をさらに上乗せする形に拡充すべきだと求めています。
生命保険金は、遺族の生活資金として加入されるケースが圧倒的多数。
基礎控除が引き下げられて課税対象世帯が増えていることもあり、世帯主を失った家族の生活保障をより厚くするべきというのが要望の趣旨です。
🌟生命保険金の非課税についてはこちらもご覧ください👇
共通するメッセージ
暗号資産、株式、保険金──テーマは異なっても、金融庁の要望に共通しているのは、いずれも次のような目的を 設定し、達成をめざしている ことです。
✅ 国民の資産形成や生活保障を支える仕組みの整備
✅ 税制による不公平感や資産選択のゆがみの是正
ただし、要望がそのまますぐ実現するわけではなく、財政事情や制度設計の難しさから長年棚上げになっているものも少なくありません。
まとめ
今回は特に金融庁からの次の3つの税制改正要望をとりあげました。
🌟暗号資産取引に係る課税の見直し
🌟上場株式等の相続税に係る見直し
🌟死亡保険金の相続税非課税限度額の見直し
税制改正要望は、将来の制度の方向性を示す“シグナル”です。
暗号資産、株式、保険金─どれも私たちの生活や相続に直結するテーマだからこそ、「今あるルールのもとでできる備えを整えておくこと」が安心への第一歩になります。
制度改正を待つだけではなく、現行制度を正しく理解したうえで行動していきたいですね。
「突然の別れ」は、誰にとっても他人事ではありません。
だからこそ、“その時”が来る前に、できる準備を。
あなたやご家族の大切な想いを、
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