認知症施策のいま ~ 新オレンジプランの成果とこれからの家族の備え

堀亜砂子
堀亜砂子

想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!



2012年(平成24年)の推計によると、65歳以上の認知症高齢者は約462万人で、これは当時の65歳以上人口の約15%(およそ7人に1人)にあたりました。



その後の見通しでは、2025年には認知症高齢者が約700万人、65歳以上の高齢者の5人に1人に達すると予測されてきました。こうした数字は「認知症700万人時代」という言葉とともに広く知られ、社会的課題として大きく注目されてきました。

この未来を見据えて厚生労働省が2015年に策定したのが「認知症施策推進総合戦略」、いわゆる「新オレンジプラン」です。これは、認知症になっても住み慣れた地域で尊厳を保ちながら自分らしく暮らし続けられる社会を実現するための国家戦略です。(出典:厚労省『認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)概要』PDF こちら

新オレンジプランの7つの柱と目標・実績

新オレンジプランは、次の7つの柱に基づいて展開されてきました。

1. 普及・啓発

【目標】認知症に関する正しい理解を広め、偏見をなくす。サポーターを全国に養成する。
【実績】認知症サポーターは累計1,200万人以上に。認知症カフェは2020年度末7,737か所、2021年度末7,904か所と全国の9割近い市町村で開催。(出典:厚労省『認知症施策の推進状況(2021年版)』PDF こちら

2. 医療・介護

【目標】本人主体の支援を基本に、早期診断体制を整備。BPSD(行動・心理症状)に対応できる医療・介護連携と人材育成を進める。
【実績】認知症疾患医療センターが全国に整備され、診断や相談支援の拠点として機能。専門職養成研修も継続。

3. 若年性認知症

【目標】都道府県ごとに若年性認知症コーディネーターを配置し、就労や生活支援体制を構築。
【実績】すべての都道府県でコーディネーターが配置され、就労継続や相談支援が展開。

4. 介護者支援

【目標】認知症カフェや介護ロボットの活用により、介護者の孤立や負担を軽減する。
【実績】認知症カフェが地域に根付き、介護ロボットやICT活用はモデル事業として導入が進行。

5. やさしい地域づくり

【目標】移動や買い物支援、住まいの確保、就労・社会参加、安全な見守り体制を整える。
【実績】地域単位で支援体制を担う「チームオレンジ」が2022年度末には399市町村で1,059チームに。
(出典:内閣官房『認知症施策推進関係閣僚会議(第1回)資料』PDF こちら

6. 研究開発

【目標】発症原因の解明、予防・診断・治療法の研究、介護モデルの開発、ICTやロボット活用。
【実績】アルツハイマー病のバイオマーカー研究や新薬開発、非薬物療法の効果検証、ICT導入実証が進展。

7. 本人・家族の視点重視

【目標】当事者・家族が施策立案や評価に参画できる仕組みを整備。尊厳を大切にする地域づくりを進める。
【実績】認知症本人や家族が協議会や国の検討会に参加し、施策に声が反映される仕組みが整備。

認知症高齢者数の最新推計

こうして長らく「2025年に約700万人」とされてきましたが、近年の研究では控えめな見直し推計もあります。


ある調査では、2025年の認知症高齢者数は約471.6万人(65歳以上の12.9%)にとどまるとの結果が出ています。
(出典:Wedge ONLINE記事👇)

つまり「700万人」という従来予測に必ずしも到達するとは限りません。


ただし、いずれにしても数百万人規模であることに変わりはなく、社会や家族に与える影響は非常に大きいままです。

まとめと私たちへの問いかけ

新オレンジプランは、「認知症の人にやさしい地域は、すべての人にやさしい地域」という理念を掲げ、7つの柱を通じて幅広い施策を進めてきました。


この10年で認知症カフェやチームオレンジ、支援チームの整備などが全国に広がり、地域包括ケアの姿は少しずつ形になってきています。

一方で、認知症高齢者数の推計には幅があり、数字の大小だけで未来を語ることはできません。重要なのは、認知症になっても尊厳を持って暮らせる地域や家庭をいかに築くかということです。

そしてこれは、相続や家族の備えともつながっています。


認知症になると、財産管理や意思決定が難しくなり、家族が突然大きな課題を背負うことになります。
元気なうちに思いを伝え、遺言や財産リストを整え、家族で将来を話し合っておくことは、認知症施策と同じく「安心して生きる社会」を支える大切な準備です。


そしてその準備は、何も特別なことではなく、日々の小さな会話や心配りの積み重ねから始まります。
想いを共有することは、相続や終活の枠を超えて、家族の絆を深め、未来にやさしい灯をともすことにつながります。

数字や制度だけでは描けない「私たちの暮らしの物語」を、次の世代へ静かに渡していけるように─。
今、この瞬間からできる一歩を大切にしていきたいですね。



「突然の別れ」は、誰にとっても他人事ではありません。
だからこそ、“その時”が来る前に、できる準備を。
あなたやご家族の大切な想いを、

静かに、でも確かに未来へつなげるために─


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この記事を書いた人

堀 亜砂子

堀 亜砂子

税理士・相続対策コンサルタント
~想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人

税理士歴25年、法人・個人含め13,000件以上の相談対応。
個人事務所、ビッグ4税理士法人、外資系事業会社、国税不服審判所、
資産税系税理士法人を経て2023年独立。

将来を約束した恋人が30代で急死、
その後も尊敬する上司の急逝、実母の他界など、
大切な人が突然この世からいなくなる経験を重ねたことから
生前に想いをしっかり伝え合い
その日のためにできる限りの備えをしておくことの
大切さを多くの人に伝えるべく活動しています。