想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!
今日は、死亡届にまつわる都市伝説についてです。
人が亡くなると、亡くなったことを知った日から7日以内に
次のいずれかの市役所、区役所、または町村役場に「死亡届」を提出しなければなりません。
・亡くなった人の本籍地
・届出人(親族、同居人、家主、後見人等)の住所地
・死亡した地
亡くなった人の本籍地が遠方にある場合でも、わざわざそこまで出向く必要はなく、「届出人の住所地」や「死亡した地」で提出することができます。
また実際には親族などが内容を確認・署名したうえで、葬儀屋さんが提出を代行するケースも多いです。
死亡届出の義務は、戸籍法に定められており、届出先や提出期限などは法務省の公式サイトでも案内されています。
戸籍法86条ほか
「死亡届」(法務省ウェブサイト)
死亡届を出すと預金が凍結される?!

相続のご相談を受けていると、
「死亡届を出したら、死亡情報が役所から銀行に通知されて預金が凍結され、引き出せなくなってしまうのではないか?」
という不安をよく耳にします。
これってホントでしょうか?
結論から言うと、よくある思い込みです。
亡くなった方がどこの銀行に預金口座を持っているかは、役所の知るところではありませんし、
役所からすべての金融機関に一斉に通知が行われるという仕組みもありません。
そのため、死亡届を出したことが直接のきっかけとなって、預金口座が凍結されるなどということはありません。
預金口座が凍結されるのは、役所に死亡届を出すことによるのではなく、銀行に死亡の事実を知らせた時からです。
例えば税理士から、相続税申告のために必要と言われ、死亡日現在の残高証明書を銀行に請求したりすると、その時点で預金口座は凍結されます。
引き出せる状態が続くこともあるけれど
銀行が死亡の事実を把握するまでは、口座からの公共料金などの自動引落しはそのまま続きますし、
キャッシュカードと暗証番号があれば、現金を引き出すことも可能です。
葬儀などでまとまったお金を急に必要としたり、クレジットカードなどの引落しのために、
亡くなってしばらくの間は金融機関への連絡を見合わせるケースも、実際には少なくありません。
だからといって、いつまでもいくらでも引き出して使ってよいというわけではありません。
預貯金については、最高裁判例*により、相続開始と同時に当然に分割されるものではなく、遺産分割の対象に含まれると整理されています。 (*最高裁大法廷平成28年12月19日決定)
そのため、遺産分割が終わるまでは、預貯金は相続人全員が関与すべき財産として扱われるのが現在の実務です。
銀行での払戻し手続きで、相続人全員の関与や確認が求められるのも、こうした整理を前提としています。
もっとも、遺産分割が終わる前に、葬儀費用や当面の生活費などのために被相続人の預貯金が引き出される場面は、
珍しくありません。
この点については、民法906条の2により、遺産分割前に処分された財産であっても、遺産分割の中で調整・精算することが予定されています。
つまり、分割前の引き出しが直ちに違法になるわけではありませんが、あとで遺産分割の中で説明し、整理できることが前提になっているのです。
そのため、一部の相続人が、ほかの相続人に十分な説明をしないまま被相続人の預金を引き出し続けてしまうと、
「なぜ勝手に使ったのか」「使い込みではないのか」といった不信感を招きやすく、相続人同士のもめごとの原因になりがちです。
葬儀費用などの一時的な対応と、理由や説明のないまま使い続けることは、性質がまったく異なります。
「あとで説明すればいい」と思っていても、時間が経つほど事情が分かりにくくなり、結果として説明そのものが難しくなることも少なくないのです。
銀行は知らなくても、税務署は知っている

もうひとつ、知っておきたいこと…
死亡届が出されると、役所から金融機関に通知が行くことはありませんが、実は税務署には通知されるのです。
役所は死亡届を受理した場合、翌月末までに所轄税務署長へ通知しなければならないと、相続税法58条で定められています。銀行は知らなくても、税務署は知っているというわけです。
もちろん通知があったからといって、すぐに財産を調べられたり、相続税が課されるということはありませんが、
「死亡の事実は公的に把握されている」という点は押さえておきたいところです。
都市伝説に振り回されないために
相続の場面では、さまざまな話が飛び交い、つい不安が先に立ってしまいます。
しかし、何が事実で、何が思い込みなのかを整理してみれば、無用な混乱はかなり減ります。
死亡届も、銀行への連絡も、どういう順番で、どう進めるかを誤ると、必要のないトラブルにつながることがあります。
都市伝説に振り回されず、事実をひとつずつ確認しながら進めていくこと。
それが、相続で揉めないための大切なポイントです。
「突然の別れ」は、誰にとっても他人事ではありません。
だからこそ、“その時”が来る前に、できる準備を。
あなたやご家族の大切な想いを、
静かに、でも確かに未来へつなげるために─
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