生命保険金の非課税枠って?

堀亜砂子
堀亜砂子

想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!

生命保険金は相続財産?


お勤めされている方はそろそろ年末調整関係の書類一式を
会社に提出される時期かと思います。


毎年10月ごろになると
保険会社から「保険料控除証明書」という書類が送付され

これを保険料控除申告書に添付して会社に提出することで
多くの場合は毎月の給与から源泉徴収された税金が12月の給与支給時に
戻ってくることになります。


このように所得税の計算においては
毎年支払う保険料のうち一定の額が控除されることを
ご存じの方も多いと思います。


それでは実際に保険をかけている対象の方(被保険者)が亡くなって
受取人が死亡保険金を受け取ったときに
その死亡保険金に相続税は課されるでしょうか?

生命保険金は、受取人が指定されている場合、
その保険金はその人個人の財産とみなされます。

これは、保険契約によって受取人が直接保険金を受け取る権利を持つためです。
そのため、保険金は被相続人(亡くなった方)の遺産とは異なり、
遺産分割の対象にはなりません。


つまり保険金は「受取人に指定された人がもともと自分のものとして受け取るもの」
という性質を持っているので、相続財産として扱われず
受取人固有の財産となるのです。


このように通常は、「受取人固有の財産」として扱われる生命保険金ですが
相続税法上は一定の条件で相続財産とみなされることとされています。


具体的には、生命保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。


亡くなった人から直接受け取った財産ではないが、
相続に関連して受け取るものとして税法上相続財産に含めることとされているのです。


ただし、相続税法の規定により
一定の金額までは非課税とされています。


下記の算式で計算される金額については
いわゆる生命保険金の非課税枠として認められます。

—————————

(死亡保険金の非課税限度額)
=500万円x法定相続人の数


—————————

例えばお子さん2人の4人家族で父親が亡くなったとき

500万円x3=1,500万円までは
相続税は非課税です。

保険契約者(保険契約者)は誰か?

ここでもう少しつっこんでいうと
死亡保険金が相続税の課税対象となるのは


亡くなった人が契約者である(=保険料を支払っている)場合に限られます。

どういうことかというと
例えば母親が亡くなって、その死亡保険金を長男が受け取った場合


保険契約者(=保険料を支払った人)が長男自身なら


受け取った死亡保険金は相続税ではなく長男の所得税の対象となります。


細かいことはここでは省くとして


死亡保険金が支払われたとき、
税金の世界では、「契約者と受取人が誰なのか」がポイントになることを
覚えておいていただければと思います。

死亡保険金の非課税枠の認知度について

話を戻しますが…

死亡保険金の(相続税)非課税についてどれだけの人が知っているかに関して
興味深い調査結果があります。


公益財団法人生命保険文化センターが3年ごとに行っている
2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」(2021年12月発行)
によれば

調査対象とした世帯員2人以上の一般世帯4,000のうち

死亡保険金の相続税非課税について

「知っている」と答えたのは37.8%
「知らなかった」が60.8%


世帯主年齢別にみると

「知っている」は「55~59歳」から「80~84歳」の層で
4割を超えている一方で

「知らなかった」は「54歳以下」の層で6割を超えています

相続における生命保険の役割

上述した非課税枠以外にも、生命保険は相続において以下のような重要な役割を果たしています。
うまく活用することで、相続人のもめごとの回避や、後の生活の安定にも役立てることが可能です。

1. 相続税の納税資金の確保
相続税は原則として現金一括で支払う必要があるため
相続財産が不動産や株式など現金化が難しいもので構成されている場合、
生命保険金がスムーズな納税をサポートすることにも役立ちます。

2. 受取人指定による財産分配の明確化
生命保険金は、あらかじめ受取人を指定しておくことで、
遺産分割協議を経ずに直接その人に渡ります。
これにより、遺産分割のトラブルを回避したり、
特定の相続人に確実に資金を残すことができることになります。

3. 遺産の公平な分配
生命保険金を活用して、相続人間の財産分配の不公平感を緩和することができます。
たとえば、不動産などの物理的に分けにくい資産が多い場合、
生命保険金で補填してバランスを取ることが可能です。

4. 生活資金の確保
相続人の生活保障として、生命保険金が受け取れることで、
被相続人の死後の家族の生活費や急な支出に対応する資金として役立ちます。


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この記事を書いた人

堀 亜砂子

堀 亜砂子

税理士・相続対策コンサルタント
~想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人

税理士歴24年、法人・個人含め13,000件以上の相談対応。
個人事務所、ビッグ4税理士法人、外資系事業会社、国税不服審判所、
資産税系税理士法人を経て2023年独立。

将来を約束した恋人が30代で急死、
その後も尊敬する上司の急逝、実母の他界など、
大切な人が突然この世からいなくなる経験を重ねたことから
生前に想いをしっかり伝え合い
その日のためにできる限りの備えをしておくことの
大切さを多くの人に伝えるべく活動しています。