想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!
「葬儀費用は相続税の計算で控除できる」
このことは、割と多くの方がご存じのことでしょう。
でも、実際に大切な人を亡くして葬儀などの手続きに追われているときは、申告のことなど考える余裕もないし、
なんとなく聞いていた記憶から、とりあえず領収書は取っておかなくちゃと思い当たったとしても
「お布施や戒名料はどうするんだっけ?」「通夜の飲食代は?」「香典返しはどう扱うの?」など、あれこれ迷ってしまうことでしょう。
相続税申告の際、相続財産から控除することができる「葬儀費用」は、支払いの名目や金額ではなく、その内容や目的で判断されます。
相続税の申告は、税理士に依頼する方も多いと思いますが、ご自身でもある程度わかっていたほうが、いざというときに迷うことが減ります。
「控除できる費用」と「できない費用」の境界線を見ておきましょう。
なぜ葬儀費用が相続財産から差し引けるの?
相続税の対象となるのは、被相続人(亡くなった方)が亡くなる直前に有していた財産です。
その財産から差し引けるものとして認められているのが、被相続人が生前に負っていた債務(借入金や未払金など)です。
これを「債務控除」といい、相続税では基本的な仕組みのひとつになっています。
本来、控除できるのは、この死亡時点で存在していた債務に限られます。
葬儀費用は、亡くなる前に負っていた債務ではありませんから、本来の意味では債務控除の範囲には入りません。
それでも控除(プラスの財産から引くこと)できるのは、相続の開始によって必然的に生じる社会的・儀礼的な出費と考えられているためです。
葬儀は故人を弔うために避けられない行為であり、 社会通念上、相続財産から支出されることが当然とされています。
そのため、相続税の計算では、相続人が実際に負担した葬儀費用を財産から差し引くことが認められています。
控除の対象となる費用
財産から差し引くことが認められる葬式費用としては次のような支出が挙げられます。
✅ 通夜・葬儀・告別式の費用(式場使用料、祭壇、棺、供花など)
✅ 遺体や遺骨の運搬にかかる費用(病院→自宅、自宅→式場、火葬場→納骨先)
✅ 僧侶へのお布施、読経料、戒名料など
✅ 会葬御礼の品(参列者全員に同一のものを渡す場合)
✅ 遺体保全のためのドライアイスや処置費
✅ 遺体安置料(霊安室の利用料)
✅ 仮通夜・仮葬式を行った場合の費用
✅ 霊柩車の費用、火葬場への送迎バス等(葬送のために必要な移動)
✅ 火葬場控室の利用料
✅ 骨壺・骨箱の費用
✅ 白木位牌・式場看板・案内看板等の設営関連費用
✅ 訃報通知や案内状の印刷費
✅ 死亡届の提出代行手数料
✅ 死亡診断書の追加発行手数料(必要枚数分)
✅ お通夜で一般参列者に提供される飲食費(茶菓・軽食など)
✅ 会葬者へのお茶、ペットボトル、水などの接待用品
✅ 葬儀運営に必要な受付用品・進行品の費用
✅ 遺骨の納骨先までの移送費用
✅ 死体の捜索や遺骨の回収に必要な費用(事故・災害等の場合)火葬・埋葬・納骨にかかる費用
(国税庁タックスアンサーNo.4129、相法13①、相基通13-4)
宗教的な行為に伴う費用も、「葬儀を行うために直接必要な支出」として扱われます。
葬儀社への支払いを被相続人名義の預金から行った場合でも、相続人が葬儀のために支出した金額として、相続財産から控除が認められます。
控除の対象外となる費用
次のような支出は、葬儀とは性質が異なるため控除できません。
✖️ 香典返しなどの返礼品代(社交上の返礼行為として)
✖️ 初七日・四十九日などの法要費用(追善供養に該当)
✖️ 墓地・墓石・仏壇の購入費(非課税財産に対応)
✖️ 永代供養料などの供養関係費用
✖️ 墓碑への彫刻料(戒名や没年月日を刻む費用)
(相基通13-5)
とくに「会葬御礼」と「香典返し」は混同されやすいところです。
会葬御礼は葬儀当日に参列者全員へ一律に渡すもので、葬儀付随費用として控除対象。
一方、香典返しは香典額などに応じて葬儀後に個別に贈るもので、葬儀後の返礼行為とされ、控除対象外です。
また、納骨にかかる運搬費や手数料は対象になりますが、墓碑の彫刻料や名入れ代は供養目的とされ、控除できません。
「葬儀を完了するための費用」と「弔い・整備のための費用」を分けて考えることが大切です。
さらに、墓地や仏壇など非課税財産に対応する未払金などは、相続税の債務控除の対象にもなりません。
(相基通13-6)
判断が分かれるグレーゾーン
実務上、判断が分かれるのが次のような支出で、ポイントは葬儀に「直接必要だったかどうか」ということです。
✅ 通夜や告別式での飲食費
一般参列者に提供する軽食や茶菓は葬儀に付随する費用として認められます。
ただし、葬儀後に親族のみで行う会食(いわゆる精進落としなど)は、 葬儀後の懇親・慰労の性質をもつため、控除対象外とするのが妥当とされています。
✅ 供花・供物の扱い
遺族が自費で手配した供花や供物は控除対象ですが、 弔問客が持参した花代を一時的に立て替えたにすぎない場合は対象外です。
✅ 遺影写真などの写真・映像費用
通夜や葬儀で使用する遺影写真の作成費用は控除対象ですが、 記録映像やアルバム制作など、記念目的の支出は含まれません。
✅ 葬儀社の一括請求に含まれる諸経費
パッケージプランに香典返しや法要費用が含まれている場合、 それらは葬儀費用に該当しないため、内訳を明確に分けて計上する必要があります。
また、例えば告別式を2か所で行ったケースについて、名古屋国税局審理課長による文書回答(平成22年11月5日)で、いずれも「死者を葬るための儀式」として社会通念上相当と認められれば、両方の費用を葬式費用に含めて差し支えないとされている事例があります。
注意点など
葬儀費用は、相続人や喪主などが実際に負担した金額を基準に控除されます。
相続人以外の親族や知人が任意で支出した費用は、その人自身の支出とされ、相続税の計算上は控除できません。
香典の授受は相続税の計算とは直接関係しません。
香典を受け取ったかどうかにかかわらず、相続人や喪主などが実際に葬儀費用を支払ったのであれば、その金額は控除の対象になります。
重要なのは「誰が、どの費用を、何のために支出したのか」ということ。
領収書がない場合でも、支払先・支払日・支払方法を記録したメモや、銀行の出金明細(通帳)、葬儀社の見積書などを残しておくと安心です。
まとめ
葬儀費用の控除は、一見シンプルに見えても、「葬儀の一部といえる支出かどうか」「誰の負担か」を明確にできるかどうかで判断が分かれます。
とくに、会葬御礼と香典返し、納骨と墓碑彫刻、通夜ぶるまいと精進落としなど、似ていても性質の異なる支出をきちんと整理しておくことが大切です。
記録を残し、支出の目的を明確にしておくことが、のちの税務判断を確実にし、ご家族皆さまの安心にもつながります。
大切なひとを亡くした悲しみのなかではありますが、できるだけ書類を保存したり記録を残したりするようにしましょう。
「突然の別れ」は、誰にとっても他人事ではありません。
だからこそ、“その時”が来る前に、できる準備を。
あなたやご家族の大切な想いを、
静かに、でも確かに未来へつなげるために─
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