相続のとき、ペットはどうなるの?

堀亜砂子
堀亜砂子

豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!

早速ですが、皆さんはペットを飼っているでしょうか?

そもそも、大切な家族の一員なので
「ペット」とか「飼う」という表現はちょっと…

と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、どうかご容赦ください。

まずは衝撃の事実!

ペット(動物)は
法律上「モノ(物)」だということをご存じですか?

民法では
下記のとおり規定されています。

(定義)

第八十五条

この法律において「物」とは、有体物をいう。

(不動産及び動産)

第八十六条

土地及びその定着物は、不動産とする。

2 不動産以外の物は、すべて動産とする。

この規定によれば、
土地と、そこに定着するもの


例えば、建物、樹木、
枝についたままの果実

移動困難な庭石など…

これらはすべて「不動産」とされ

それ以外は「動産」として扱われるのです。

話はそれますが、

枝についたままの果物は「不動産」だけど
熟して落ちたら「動産」というのは興味深い気がします。

民法のこの定義によると


犬や猫などの動物は
「不動産」ではないので

すべて「動産」(物)です。

そうすると、誰かが亡くなったとき

ペットもその方の財産に含まれて

どなたかに引き継がれることになります。

ペットに相続税はかかるのか?


それならば

ペットを亡くなった方から引き継いだら

相続税がかかるのでしょうか?


相続税は、死亡した人の財産を
相続や遺贈(死因贈与を含みます。)によって取得した場合に、
その取得した財産にかかりますが、

この場合の財産とは、

現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか
貸付金、特許権、著作権など

金銭に見積もることができる
経済的価値のあるすべてのものをいいます。

国税庁タックスアンサー No.4105 より)

ペットについては
上述したとおり「動産(物)」にあたり


財産評価基本通達によれば、原則として
売買実例価額等で評価されることとされています。


ここで犬や猫などは、年齢を重ねると
売買実例価額が下がることから

一般的には


血統書付きなどで市場価格が高額な場合のように


よほどの財産的価値が認められない限りは
ペットに相続税がかかることはないとされています。

ペットに財産を遺すには?

次にちょっと見方を変えて

自分のペットに財産を遺したい
という場合はどうなるのでしょうか?

ここでもやはり
ペットが物であるということが関係します。

仮に遺言に
ペットに財産を遺す、と書いたとしても
無効となってしまうのです。

これについては、例えば

自分が亡くなったときに

ペットの面倒を見てくれる人に
多めに財産を遺すような遺言を書くという
方法があります。

ペットが病気になったりすると
人間と違って健康保険の適用などはなく

医療費が高額になることも
考えられることから

自分が亡きあと
どなたかにペットの世話を託す場合は

そのあたりも考慮して
遺言を書いておく必要があるといえます。

この記事を書いた人

堀 亜砂子

堀 亜砂子

税理士・相続対策コンサルタント
~想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人

税理士歴24年、法人・個人含め13,000件以上の相談対応。
個人事務所、ビッグ4税理士法人、外資系事業会社、国税不服審判所、
資産税系税理士法人を経て2023年独立。

将来を約束した恋人が30代で急死、
その後も尊敬する上司の急逝、実母の他界など、
大切な人が突然この世からいなくなる経験を重ねたことから
生前に想いをしっかり伝え合い
その日のためにできる限りの備えをしておくことの
大切さを多くの人に伝えるべく活動しています。