私は2022年11月に母を亡くしました。

ずっと元気だった母の体に急な体調の変化が訪れたのが2019年。

長女である私は、母との関わりを通して、
親が元気がうちに相続の準備を進めることがどれだけ大切なことか、
身をもって経験しました。

さまざまなファミリーの相続問題に直面して

30代での恋人との死別を経験した私。
この経験は大切な人を失うことによる生活への影響、人生そのものへの影響の大きさを強く感じざるをえませんでした。
(詳しくは「私が相続コンサルタントになったいくつかの理由」をご覧ください)

40代後半から50代にかけては、国税審判官時代とその後勤務した事務所において、
様々な相続案件に関わるようになりました。

それぞれのファミリーの相続案件を通して多様なドラマを垣間見ることになりました。
普通の人生を歩んでいたら、このような多くの家庭の相続問題を当事者に近い立場で経験することなどなかったでしょう。
家族の死をきっかけとして、残された人にこんなにも重い精神的・経済的な影響降りかかることは、
私の過去の職業経験だからこそ知ることができました。

どうしたらそんな辛い状況を回避できるのか、それを強く考えるようになりました。
私の心に浮かんだのは

「相続が発生する前に、事前の準備や対策によって緩和することができるのではないか?」

ということでした。

母が進めてくれた準備に助けられた

国税審判官としての任地であった沖縄から関東にもどった2018年ころから、
母の衰えが目立つようになり、要介護1の認定を受けました。

その後2019年に急な体調変化により母が入院することに。
3か月余りの入院後に介護施設へ入居となりました。

確実に進行する認知症による意思能力の喪失…

病院や介護施設関連のあらゆる対応は兄と協力しながら取り仕切っていたのですが、
これらのさまざまな対応の経験を経て、生前対策の重要性をますます痛感することとなりました。

父が亡くなったあと、母が財産についての詳細な記録を手書きの書面で残していてくれたことはとても幸運でした。
認知症と思われる症状が進行する母を近くで見ていた私は、
早めに財産管理を引き継ぎ、介護施設入所その他の費用も母の財産の中から問題なくまかなうことができました。

また、母は認知症が進行するかなり前から、自分なりに生前対策をしてくれていたのです。
自分が亡くなった後にはきっと相続税がかかるであろうことを察知し、
その際の相続税の節税と納税資金準備を共に叶えるための生命保険の加入してくれていました。
また、財産をできるだけ換金性の高いものへ変換もしてくれていました。

母が遺してくれたメッセージ


様々な生前対策を母が進めてくれていたおかげで、
私たち家族は精神的、経済的にも比較的少ない負担で、母の介護や相続のことに対処することができました。

誤嚥性肺炎を経て2022年11月に母は亡くなりましたが、
母によるこれらの生前対策がなかったらどうなっていただろう、と考えるとゾッとします。
しかし私はこれまでの職業経験から、生前対策がほとんどなされずに、
残された家族がとても大変な思いをしてしまう事例も、たくさん見てきました。

私は自分の経験や知識を、相続問題に苦しむ人を一人でも減らすことに役立てたいと考え、
相続対策コンサルタントとして活動していくことを決意しました。

「相続対策コンサルタントという職業を通して誰かの『転ばぬ先の杖』になってね」

これは天国の母が私に囁いてくれているメッセージなのだと思っています。