妻のヘソクリも夫の相続財産!?

堀亜砂子
堀亜砂子

豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!

今日はちょっとだけ
どっきりするかもしれない
お話です。

例えば

奥様が専業主婦で


ご主人から
毎月生活費として渡されるお金を

かしこくやりくりして

その中から
「ヘソクリ」として

コツコツ貯めていた場合・・・

奥様としては
これは当然自分のお金と思っていますが

いざご主人が亡くなったとき

なんと
主人の相続財産だと言われてしまう
可能性があるのです!

贈与契約の成立について


法律上、贈与契約は
「あげます」と「もらいます」という
双方の意思で効力を生じます(民法549条)

(贈与)
第五百四十九条 
贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

ここで
先ほどのヘソクリの話で

奥様としては
「もらったもの」と思っていても

贈与が成立していない


つまり

ご主人の収入からこっそり貯めていた
奥様名義のヘソクリは

そもそもご主人が

「あげます」と言ったわけではない、

として

亡くなったご主人のもの
ということになり

ほかの財産とあわせて
相続税の基礎控除額※
を超える場合には

相続税が課されてしまう
可能性があるのです!

(※相続税の基礎控除額=3000万円+600万円x法定相続人の数)

夫婦のヘソクリ事情


投資顧問会社の
スパークス・アセット・マネジメント株式会社の
調査*によれば


へそくりをしている人の平均額は
男女合わせると
233万円(2023年)とのこと

中でも女性の平均額は

309万円(2023年)で


男性の平均額152万円の
約2倍となっているそうです!

*「夫婦のマネー事情と夫婦円満投資に関する調査2023」
(スパークス・アセット・マネジメント株式会社)
https://www.sparx.co.jp/news/doc/PressJ231115.pdf

ヘソクリはだれのもの?


全体の財産額にもよりますが

奥様が
せっかく上手に家計をやりくりして
確保したお金を
こつこつ貯めて来たのに

いざ
ご主人が亡くなったとき


すでにもらったものとして
奥様の財産とは認めてもらえず


相続財産に足されてしまうのは
痛いですよね…

お金に色がついている
わけではないので
誰のものかを判断するのは

難しいかもしれませんが

少なくとも税務署としては


奥様が専業主婦で、
ほかに収入源がないのに

多額の預貯金をお持ちの場合などは、

奥様名義の預貯金も
亡くなった方の財産と疑ってかかるのが
当たり前ということを覚えておきましょう。

「主人からは
毎月まとまったお金を生活費として渡されて、
残りは好きにしなさい(=あげます)と
言われていました。」

と主張しても

何しろ当のご主人は
もう亡くなっているので

その主張は
認めてもらえないことも
多いということに注意が必要です。

このように

もらったつもりでも、
もらったことになっていないとして

何年も経って
相続税の課税対象に
なってしまわないように、


夫婦の間でも
贈与契約書として
書面に残すことなどが
大切なのですが

そもそも

それではヘソクリの意味がないので

悩ましいところかもしれませんね…

この記事を書いた人

堀 亜砂子

堀 亜砂子

税理士・相続対策コンサルタント
~想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人

税理士歴24年、法人・個人含め13,000件以上の相談対応。
個人事務所、ビッグ4税理士法人、外資系事業会社、国税不服審判所、
資産税系税理士法人を経て2023年独立。

将来を約束した恋人が30代で急死、
その後も尊敬する上司の急逝、実母の他界など、
大切な人が突然この世からいなくなる経験を重ねたことから
生前に想いをしっかり伝え合い
その日のためにできる限りの備えをしておくことの
大切さを多くの人に伝えるべく活動しています。