
想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!
1月20日に開催された相続対策コンサルタント向けのフォローアップセミナーに参加しました。
テーマは『国税出身税理士が教える 税務調査に入られない相続税申告書の作り方』
このセミナーでは、相続税の申告書が税理士によってどれほど異なるのか、
税務署が調査しない申告書とはどのようなものかについて
国税OBであり相続税専門の石田一弘税理士が解説してくださいました。
石田先生は名古屋国税局管内14の税務署で、42年間にわたり相続税調査・審理事務に従事。
審理専門官・特別国税調査官などとして一万件以上の相続税申告書を見てきたご経験をお持ちの
まさに相続税務や調査のプロ中のプロ!
クローズドのセミナーだったこともあり
ここでは書けない裏話的なエピソードもうかがって
思わず前のめりになってしまいました。
相続税申告書は税理士によって異なる
相続税申告書の内容は作成を担当する税理士によって大きく異なります。
また、生前対策で想定していた相続税額と、
実際の申告税額が異なるケースも珍しくありません。
その背景には、財産評価の方法や解釈の違いはもちろんのこと、
添付書類の充実度合、被相続人や相続人の過去の取引履歴の確認レベルや
被相続人の財産管理の実態把握の程度などが影響します。
税務調査で問題となりやすいのは、次のようなポイントです。
名義財産:相続人名義でも実質的に被相続人が管理していた預金などの財産が発覚すると
相続財産として計上されます。
高額出金の行く先:預貯金からの高額な出金が別の形で残っていると、
申告漏れとして指摘される可能性があります。
土地の評価:現地調査を行わず机上での評価をした場合、土地の実態を反映しておらず
評価誤りが指摘されるケースがあります。
こうした点を適切に把握し、正確な申告書の作成・チェックを行うことが、
税務調査リスクを抑える鍵となります。
私は日ごろ申告書作成だけでなく、
他の事務所さまが作成した相続税申告や財産評価のレビューやチェックに多く携わっています。
その視点からも、今回のセミナーで学んだ内容は非常に実務的で
日々の業務に直結する有意義なものでした。
税務調査に入られない相続税申告書のポイント
税務調査を防ぐためには、税務署が納得できる申告書を作成し
添付書類を充実させることが重要です。
今回のセミナーでは、豊富かつ卓越した調査経験をお持ちの石田先生から
次のポイントが示されました。
・調査官の疑念を生じさせない具体的な書類準備
・税務署内部の意思決定プロセスを理解した対応
調査官がどのような観点で申告書を見ているのか、
どこを疑問視しやすいのかを知ることで
調査リスクを未然に防ぐことが可能になるのです。
相続税申告書が提出されると管理運営部門での形式チェックの後、
資産課税部門へ回付され、過去の金融取引データなどを基にした精査が行われます。
実際の相続税調査の主な流れは次のとおりです。
1.KSKデータ収集(事前調査)*KSK=国税総合管理(システム)の略
2.自宅訪問(臨宅調査)
3.銀行調査(預金・貸金庫の確認)
4.現地確認(土地・建物の調査)
5.問題点の指摘
まとめ
今回のセミナーを通じて
税務調査を回避し、精度の高い相続税申告を行うための具体的な対応策を改めて学びました。
🔹 お客様への説明を明確にすること
- 名義財産や高額出金、土地評価など、税務調査で指摘されやすいポイントを分かりやすくお伝えする
- 申告の背景や判断根拠を丁寧に説明し、納得感を持っていただく
🔹 申告書の精査を徹底すること
- 調査官が疑問を持ちやすい項目(過去の金融取引、財産の管理状況など)を確認
- 机上評価に頼らず、現地確認を行い、適正な財産評価を行う
🔹 調査リスクの高い案件には慎重かつ的確に対応すること
- KSK(国税総合管理システム)でのデータ収集や、税務署の調査プロセスを理解した申告
- 税務当局が重視する視点を踏まえ、リスクの高い項目は補足資料を用意し、説明責任を果たす
今後は、国税審判官として多くの不服申立て案件の調査・審理に携わった経験も活かし、
「自分が調査官だったらどう見るか」を常に意識しながら
税務当局の視点を踏まえた対応に努めます。
そして調査リスクを抑え、より安心できる申告の実現に貢献してまいります!
次回のブログでは、2月17日に開催されたセミナー
『国税出身税理士が教える 税務調査の裏側』についてまとめます。
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