「日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか?」(久坂部羊)を読んで

堀亜砂子
堀亜砂子

想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!


先日、Audibleで久坂部羊さんの『日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか』を聴きました。



久坂部さんは、医師であり作家でもある方です。
以前、『告知』という作品を拝読し、終末期医療や看取りを通じて、「その人らしい最期とは何か」について考えました。



今回も、深く考えさせられる一冊でした。
長生きは、本当に無条件に良いことなのか。

もちろん、健康で長く生きられるなら、本当にありがたいことです。
世の中には、病気や事故などで、生きたくても生きられない人がいます。
そうしたことを思うと「長寿なんていらない」と軽々しく言うつもりもありません。



でも、「ただ長く生きること」と「自分らしく幸せに生きること」は、必ずしも同じではない。
そんなことをあらためて考えました。

「健康結構、長寿嫌」という言葉

本の中では、作家・富士正晴氏のエピソードが紹介されていました。
そこで出てきたのが、「健康結構、長寿嫌(けんこうけっこう、ちょうじゅいや)」という言葉で、富士氏のエッセイのタイトルでもあるそうです。

健康は結構。でも、長生きは嫌。
なかなか強烈な言葉ですが、かなり共感してしまって、聴き終わった後も、この一言がずっと頭に残っています。

私たちは、「健康で長生きしましょう」という言葉に慣れすぎているのかもしれません。
もちろん、健康であることは大切で、とってもありがたいことです。
でも、「長生きすること」そのものが目的になってしまうと、どこかで大切なものが抜け落ちてしまう気もします。

「何歳まで生きるか」よりも、「どう生きるのか」「誰と過ごすのか」「何を大切に生きるのか」
「健康結構、長寿嫌」という言葉は、そんな問いを私たちに投げかけているように感じました。

メメント・モリ

本の中では、「メメント・モリ」という言葉も取り上げられていました。
これは「死を思え」「死を忘れるな」という意味のラテン語です。
「食べて、飲んで、今を楽しめ。いずれは死ぬのだから」という意味も込められているそうです。

私はこの言葉を見て、大好きなMr.Childrenの楽曲『花 -Mémento-Mori-』を思い出しました。

「負けないように 枯れないように 笑って咲く花になろう」

大好きな一節です。

人生には終わりがあります。だからこそ、今をどう生きるのか。
どんな花も、いつかは枯れます。
だからこそ、ただ長く咲くことよりも、自分らしく咲くことのほうが大切なのかもしれません。

長生きを支える社会の実力

本書では、もっと踏み込んだ問いも投げかけられています。



「われわれの社会に、この超高齢化社会を支えるだけの実力はあるのか?」



介護も医療も、資源は無尽蔵ではありません。
高齢者や病気を抱える人が増え、需要と供給のバランスは大きく崩れています。
介護の現場では、人手不足や厳しい労働環境から、心身ともに疲れ果てて離職する方も少なくないという現実。

もちろん、誰もが安心して老いを迎えたいと思います。
十分な医療や介護を受けたいと願うのも、ごく自然なことです。
でも、その理想を支える側の人材や財源にも限りがあるのだと、本書では問題提起しています。

長生きそのものを否定する話ではありません。
ただ、「長生きしたい」という願いを実現するためには、社会全体で何を支え、どこまで支えられるのかという現実から目を背けることはできない。

そんな厳しくも重い問いが、この本にはありました。

だからこそ、「どう生きるか」

相続や生前対策の仕事をしていると、「長く生きた先」のことを考える場面があります。



認知症になったら、財産管理はどうするのか。
施設に入ることになったら、自宅はどうするのか。
預貯金や不動産を、誰にどう託すのか。
自分の想いや希望を、どう残しておくのか。

私はかねてから、相続や生前対策は「死ぬ準備」というより、「自分らしく生き切るための準備」なのではないかと思っています。

何歳まで生きるかは、自分では決められません。
でも、元気なうちに、何を大切にしたいのか、誰と過ごしたいのか、何を託したいのかを考えることはできます。



長生きそのものをゴールにするよりも、限りある時間の中で、自分らしく咲いていたい。
久坂部羊さんのこの本を聴いて、そんなことをしみじみ考えました。

皆さんは、何歳まで生きたいと思っていますか。

どんなふうに生き切りたいですか。


「突然の別れ」は、誰にとっても他人事ではありません。
だからこそ、“その時”が来る前に、できる準備を。
あなたやご家族の大切な想いを、

静かに、でも確かに未来へつなげるために─


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この記事を書いた人

堀 亜砂子

堀 亜砂子

税理士・相続対策コンサルタント
~想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人

税理士歴26年、法人・個人含め13,000件以上の相談対応。
個人事務所、ビッグ4税理士法人、外資系事業会社、国税不服審判所、
資産税系税理士法人を経て2023年独立。

将来を約束した恋人が30代で急死、
その後も尊敬する上司の急逝、実母の他界など、
大切な人が突然この世からいなくなる経験を重ねたことから
生前に想いをしっかり伝え合い
その日のためにできる限りの備えをしておくことの
大切さを多くの人に伝えるべく活動しています。