想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!
「ザ・ロイヤルファミリー」楽しみに観ていましたが、12月14日(日)の最終回で、印象に残ったセリフがあります。
馬主・椎名善弘の息子、中川大志さん演じる展之(のぶゆき)が、目黒蓮さん演じる耕一に向かって投げかけた言葉。
「継承(けいしょう)、継承って継承の奴隷になるなよ。
継承って言やぁ立派に聞こえるけど、要は負債の繰越だから。
親の後始末するために生きてるわけじゃないんだよ。」
かなり挑発的で、きつい言い回しでもあるのに、どこか現実を突いているようにも感じました。
先日のブログでは、第8話のタイトルにもなっていた「相続馬限定馬主」 という言葉をきっかけに、
- 継げるもの
- 継げないもの
- それでも受け継がれていく想い
について考えてみました。
最終回は、そこからさらに一歩踏み込んで、
「継ぐとはどういうことなのか」
「それは誰の選択なのか」 を問いかけてきたように感じました。
相続から始まった、中条耕一の道
競走馬オーナーの一家を舞台にしたこのドラマでは、 「継承」や「血筋」というテーマが物語の軸になっています。
全10話完結のドラマ後半では、目黒蓮さん演じる中条耕一が重要な役割を担って物語が展開していきました。
佐藤浩市さん演じる山王耕三の隠し子だった耕一は、相続馬限定馬主 という制度のもとで競走馬を引き受ける立場に立ちました。馬という資産は相続できるけれど、馬主資格そのものは相続できないという、現実の制度を反映した設定です。
最終回では「数年後」というかたちでさらっと描かれていますが、彼はその後、所得や資産などの要件を満たし、自らの条件で馬主資格を取得しています。
相続という入口から始まりながらも、最終的には「自分の立場」としてその世界に立つ。
この流れが、物語のひとつの軸になっていたように感じました。
展之(のぶゆき)の言葉が突きつけた現実

一方で、展之はまったく違う立場にいました。
家の中で「継ぐ側」として期待されながらも、継承そのものに強い違和感を抱き、馬主としても独自のやり方で父を超えようとしている姿が描かれていました。
だからこそ、耕一に向かって、
「継承=負債の繰越」
「親の後始末をするために生きているわけじゃない」という、あの言葉を投げかけたのでしょう。
耕一が「継ぐことを引き受け、乗り越えていく存在」だとすれば、展之は「継ぐことを疑い、拒む視点を示す存在」
この二人の対照も、最終回の印象をより深いものにしていました。
継承は、強制ではなく選択
あらためて振り返ると、
- 制度としては引き継げない資格
- 財産として確実に引き継がれるもの
- そして、受け継がれるのは財産だけではなく、
その人が大切にしてきた気持ちや願い
ここに、もう一つ加わった気がします。それは、「継承は、与えられるものではなく、選び取るものだ」ということ。
耕一は、思ってもいなかった相続という入口から始まりながら、最終的には愛する馬の一生を引き受ける道を選びました。
一方の展之は、継承を当然の前提として押し付けられることに違和感を抱きながら、父に対抗し、自分の立場で勝とうとし続けていました。
どちらが正しい、という話ではありません。
ただ継ぐかどうかを考えること自体が、本当の意味での継承なのではないか。
そんな問いが、最終回を観終えたあとも残りました。
おわりに

相続も、事業承継も、「継がなければならないもの」ではありません。
どう継ぐのか。
何を引き受けるのか。
どこまでを自分の責任とするのか。
中条耕一と展之、対照的な二人の姿を通して、継承とは「過去の後始末」ではなく、未来をどう生きるかを選ぶ行為だということを、あらためて考えさせられました。
『ロイヤルファミリー』の最終回は、相続や承継に向き合う私たちに、軽くはないけれど、目を背けられない問いを
残して終わったように思います。
私はジョッキーや名馬について詳しいわけではありませんが、
このドラマは競馬ファンの間でも、別の意味で大きな話題になっていたようです。
実在するジョッキーや調教師が本人役で出演していたり、エンドロールに登場した競走馬の名前がすべてクレジットされていたり、さらには誘導馬や過去の名馬まで含めて、競馬の世界そのものを丁寧に描こうとする姿勢が随所に感じられました。
競馬をよく知る人にとっては「あの騎手が出ていた」「あの馬の名前があった」という楽しみがあり、一方で、私のように詳しくない立場から見ても、“継承”というテーマを支える厚みとして、確かに物語に効いていたように思います。
今秋話題となった競馬ドラマが完結し、“ロス”を感じている方もいるかもしれません。
けれど、『ザ・ロイヤルファミリー』が描いた人と人、想いと想いのつながりは、これからもそれぞれの心の中で続いていくのではないでしょうか。
「突然の別れ」は、誰にとっても他人事ではありません。
だからこそ、“その時”が来る前に、できる準備を。
あなたやご家族の大切な想いを、
静かに、でも確かに未来へつなげるために─
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