「何もしない練習」~ドラマ「さよならノワール」を観て

堀亜砂子
堀亜砂子

想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!

フジテレビで始まったドラマ『さよならノワール』の初回放送を観ました。
このドラマの舞台は、警視庁西池袋署に新設された「犯罪被害者支援室」。

元暴力団対策係、いわゆるマル暴の刑事・黒木夏海(小池栄子さん)と、心理学者の白石絵梨子(北香那さん)がバディを組み、犯罪被害者やそのご家族に寄り添いながら、再び人生を歩んでいけるよう支援する姿を描いた警察ヒューマンドラマです。

犯罪被害者支援というと、あまり耳慣れない言葉かもしれません。
事件が起きたあと、被害者やそのご家族がどのような支援を受けているのか、私もこれまでそれほど深く考えたことはありませんでした。



でも、被害に遭われた方やそのご家族にとっては、事件が起きたその後も、生活は続いていきます。
突然の出来事によって日常が壊れ、心にも体にも大きな負担を抱えながら、それでも現実の手続きや生活に向き合わなければならない。

犯罪被害者支援室は、そうした方々に寄り添い、必要な制度や関係機関につなげながら、少しずつ日常を取り戻していくための支援を行う部署として描かれていました。

主人公の「私たちは、被害者にとって人生最悪の数日間のパートナー、せめて無条件に味方でいたい」
という言葉が印象的でした。



事件直後の数日間は、被害者やご家族にとって、何が起きたのかを受け止めるだけでも精一杯の時間です。
その中で、警察、病院、手続き、報道、周囲との関係など、次々に現実的な対応が押し寄せてくる。

その「人生最悪の数日間」に、ただ事務的に対応するのではなく、そばにいる存在。
この言葉だけでも、犯罪被害者支援という仕事の重さが伝わってきました。

私はこのドラマが単なる事件解決ものではなく、「傷ついた人が、その後をどう生きていくのか」に焦点を当てているところにまず惹かれました。

心に残った言葉

初回放送の終盤で、特に印象に残ったやり取りがありました。

「何もしない練習。」

「人は自分で立ち上がるしかない。
私たちにできるのはそれに気づいてもらうことだけ。」

「それが一番難しいです。
私、すぐ何かやりたくなっちゃうんで。」

「何もしない練習」という言葉を聞いたとき、私は最初から深く共感しました。
それは、冷たく突き放すという意味ではなく、相手の力を信じるということだと感じたからです。

困っている人を見ると、つい何かをしてあげたくなる。でも、その人が自分で立ち上がろうとしている途中で、こちらが先回りして手を出しすぎてしまうと、その人自身の力を奪ってしまうこともあります。

相手を信じること。
必要以上に先回りしないこと。
その人自身が、自分の足で立ち上がる力を持っていると信じて待つこと。
そうした姿勢が本当の意味で相手に寄り添うことなのではないかと思いました。

「何もしない練習」という言葉には、そんな静かで深い支援の姿勢が込められているように感じました。

答えを出しすぎない支援

相談を受ける仕事をしていると、困っている人を前にして、「自分が何とかしてあげたい」と思うことがあります。



少しでも早く不安を取り除いてあげたい。
答えを示してあげたい。
正しい方向へ導いてあげたい。



その気持ち自体は、ごく自然なもので、誰かを支援する仕事には欠かせない想いなのだと思います。
でも、そこで支援する側が先に答えを出しすぎてしまうと、相手が自分で考え、自分で決める機会を奪ってしまうことがあります。

相続や生前対策のご相談でも同じと感じます。



どんな財産を残したいのか。
誰に何を託したいのか。
これからどんな人生を送りたいのか。

それを決めるのは、ご本人やご家族です。
もちろん、税務や法律、制度の面から、専門家として正確にお伝えしなければならないことはあります。
できること、できないこと。今やっておいたほうがよいこと。放置すると困ること。
そうした情報を整理してお伝えするのは、専門家の大切な役割です。

けれど、その先で「どうしたいか」を決めるのは、あくまでご本人やご家族で、専門家がすべてを決めることはできません。
むしろ決めてはいけない、と言ったほうが近いのかもしれません。

相手の力を信じて待つ

支援とは、何かをしてあげることだけではないのだと思います。



相手が自分で考えられるように、情報を整理する。
不安でいっぱいになっている気持ちを、少し落ち着けられるようにする。



選択肢を示しながらも、最後の決断を急がせない。
そしてその人が自分の力で立ち上がる瞬間を、ひたすら信じて待つ。

「何もしない練習」という言葉は、そういう意味で、とても深い言葉でした。
もちろん、本当に何もしないわけではありません。



必要なときには、専門家としてしっかり支える。
危ない方向に進みそうなときには、きちんと止める。



でも、相手の人生まで背負い込まない。
相手の代わりに決めすぎない。

相手が自分の人生を、自分で選び取れるように支えること。
その距離感こそが、支援する側にとって大切であり、本当の意味での伴走なのだと思います。

私自身も、困っている人を見ると、つい自分が何かしてあげなくてはという気持ちにかられます。
相談を受ければ、早く答えを出したくなることもあります。
だからこそ、「何もしない練習」という言葉が、自分に向けられた言葉のようにも感じました。

相手の力を信じて待つ。
必要なときだけ、そっと手を差し伸べる。
言葉にすると簡単ですが、実践するのは案外難しいものです。



ドラマ『さよならノワール』の初回放送は、犯罪被害者支援という重いテーマを扱いながらも、支援とは何かを静かに問いかけてくれる内容でした。

これからどんな物語が描かれていくのか楽しみです。そして、このドラマが投げかける「支援とは何か」という問いを、私自身も考え続けていきたいと思います。


「突然の別れ」は、誰にとっても他人事ではありません。
だからこそ、“その時”が来る前に、できる準備を。
あなたやご家族の大切な想いを、

静かに、でも確かに未来へつなげるために─


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この記事を書いた人

堀 亜砂子

堀 亜砂子

税理士・相続対策コンサルタント
~想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人

税理士歴26年、法人・個人含め13,000件以上の相談対応。
個人事務所、ビッグ4税理士法人、外資系事業会社、国税不服審判所、
資産税系税理士法人を経て2023年独立。

将来を約束した恋人が30代で急死、
その後も尊敬する上司の急逝、実母の他界など、
大切な人が突然この世からいなくなる経験を重ねたことから
生前に想いをしっかり伝え合い
その日のためにできる限りの備えをしておくことの
大切さを多くの人に伝えるべく活動しています。