想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!
2026年9月24日、e-Taxのマイページにある「贈与税関係情報」についてのお知らせが更新されました。
このお知らせは今年5月に公表されていたもので、9月下旬以降、新たに次の3つの情報が追加されることが案内されています。
✅更正・決定の通知情報
✅相続時精算課税適用状況
✅書面申告提出状況
実際の情報は、2026年10月19日以降、順次マイページに反映されます。
これまでにも、e-Taxで提出した贈与税申告書をマイページから確認することはできましたが、今回の改修によって、相続時精算課税の適用有無や時期、過去の書面による申告などの情報まで確認できるようになります。
贈与税は「申告して納税したら終わり」とは限りません。
特に相続時精算課税を選択している場合、過去の贈与の記録は、その贈与者が亡くなったときの相続税申告にもつながっていきます。
今回の改修によって、こうした過去の贈与に関する情報を確認しやすくなります。
e-Taxの「贈与税関係情報」はどう変わった?

e-Taxで提出した申告
e-Taxでは、2025年1月から、マイページの「贈与税関係情報」で、過去にe-Taxで提出した贈与税申告書を確認できるようになっています。
e-Taxで提出した申告書は、「申告書表示」から提出後すぐに確認することができます。
メッセージボックスに格納された受信通知から確認することもできます。
書面で提出した申告
今回の改修では、書面で提出した申告についても情報を確認できるようになりました。
「申告書表示」で書面申告の申告書を表示できるのは2026年分からですが、「書面申告提出状況」では、2026年9月のリリース時点で過去7年分の提出記録を確認できます。
なお、書面申告は税務署での審査が終わってから反映されるため、最大2か月程度かかる場合があるようです。
2026年9月以前に提出した申告書については、10月下旬から順次表示される予定です。
「相続時精算課税適用状況」について
相続実務との関係で押さえておきたいのが、「相続時精算課税適用状況」です。
相続時精算課税を選択している場合、
・特定贈与者の氏名
・相続時精算課税の適用開始年分
が表示されます。
さらに特定贈与者を選択すると、
・申告年分
・贈与財産の価額の合計額
・相続時精算課税分の贈与税額
など、これまで申告した内容を年分ごとに確認できます。
相続時精算課税は、原則として60歳以上の父母や祖父母などから、18歳以上の子や孫などへの贈与について選択できる制度です。
贈与者ごとに選択し、年間110万円の基礎控除と累計2,500万円までの特別控除があり、それを超える部分には一律20%の贈与税がかかります。
将来その贈与者が亡くなったときには、贈与財産を相続財産に加えて相続税を計算し、すでに納めた贈与税を精算する仕組みで、一度選択すると、その贈与者からの贈与について暦年課税に戻すことはできません。
また、相続時精算課税による贈与には、暦年課税のような「相続開始前○年以内」という加算期間の区切りはありません。
贈与から何年経っていても、将来その贈与者が亡くなったときには、相続税の計算に関係してきます。
2024年からは相続時精算課税にも年間110万円の基礎控除が設けられ、2024年1月1日以後の贈与については、原則として、その年に贈与を受けた財産の価額から年間110万円の基礎控除額を差し引いた残額が、相続税の課税価格に加算されます。
このように、相続時精算課税は選択した年だけでなく、将来の相続まで長く関係する制度です。
そのため、「誰からの贈与について、いつ相続時精算課税を選択したのか」を把握しておくことはとても重要です。
これまでは、相続時精算課税を選択したかどうかがわからない場合、税務署の「申告書等閲覧サービス」を利用して、過去に提出した相続時精算課税選択届出書を確認する方法がありました。
今回、こうした適用状況をe-Taxのマイページから確認できるようになったことで、過去の届出書そのものを探さなくても、適用の有無や開始年分を確認しやすくなります。
e-Taxだけでは確認できない情報も
e-Taxで確認できるからといって、贈与の履歴がすべて自動的に残るわけではありません。
たとえば、2024年以後の相続時精算課税では、年間110万円以下の贈与で申告が不要となるケースがあります。
申告していない以上、その贈与はe-Tax上の履歴には残りません。
また、不動産や非上場株式などを贈与した場合には、申告書だけでなく、そのときの評価資料などが後になって必要になることもあります。
相続時精算課税選択届出書についても注意が必要です。
贈与税申告書と一緒にe-Taxで送信した場合は「申告書表示」から確認できますが、届出書を申告書とは別に送信した場合や、届出書だけを単独で送信した場合は「贈与税関係情報」からは確認できません。
その場合は、メッセージボックスの受信通知から確認することになります。
更正・決定の情報も確認できるように
もうひとつ追加されたのが「更正・決定の通知情報」です。
過去に贈与税を申告していても、その後、税務署による更正や決定が行われれば、当初の申告内容だけを見ていては現在の課税関係を正しく把握できません。
今回の改修では、贈与税の更正通知書・決定通知書に関する情報もマイページから確認できるようになります。
相続税申告の際に過去の贈与税申告を確認する場合にも、当初の申告内容だけでなく、その後の更正や決定を含めた課税関係を確認しやすくなります。
相続を見据えると「過去の贈与」の管理が重要に
「書面申告提出状況」では、2026年9月のリリース時点で過去7年分の提出記録が確認できます。
確認できる年分は、相続税における贈与財産の加算期間の取扱いに合わせて、今後順次拡大される予定です。
暦年課税による生前贈与について、2024年1月1日以後の贈与から、相続税の課税価格に加算される期間が従来の3年から7年へ段階的に延長されています。
「数年前の贈与だから、もう関係ない」とはいえないケースが、これまで以上に増えていくわけです。
なお、納税者本人だけでなく、e-Tax上で納税者との「委任関係の登録」をしている税理士も、関与先の「贈与税関係情報」を参照できます。相続税申告の際に、過去の贈与税申告や相続時精算課税の適用状況を確認する場面でも活用できます。
e-Taxが「申告する場所」から「税務情報を管理する場所」へ
e-Taxというと、「税金を電子申告するためのもの」というイメージが強かったように思います。
でも最近は、過去の申告内容や制度の適用状況などを蓄積し、あとから確認するための「税務情報の管理場所」としての機能が増えています。
特に贈与は、贈与したその年だけを見て終わる話ではありません。
誰から、いつ、何を、いくら贈与されたのか。
暦年課税だったのか、相続時精算課税だったのか。
申告したのか、申告不要だったのか。
そうした記録が、何年も先の相続税申告で必要になることがあります。
財産の「見える化」というと、今持っている財産を把握することに目が向きがちですが、過去の贈与や選択した制度、そのときの申告資料なども、あとから確認できる状態にしておくことが大切です。
e-Taxで確認できる情報が増えても、申告不要だった贈与や評価資料など、そこには残らない情報もあります。
デジタルで確認できる情報と、自分で残しておく情報。その両方を整理しておくことが、将来の相続への備えにもつながります。今回の「贈与税関係情報」の拡充は、そのために活用できる機能のひとつといえそうです。
【参考情報】
e-Tax「マイページの『贈与税関係情報』が更に便利になります。」
e-Tax「マイページについてよくある質問」
国税庁「相続時精算課税の選択」
国税庁「贈与財産の加算と申告等」
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“なんとなく気になる”が、最初の一歩 ~大切なのは心をつなぐ相続~

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