続けることは、変わらないことではない ~『選んだ道が一番いい道』を読んで~

堀亜砂子
堀亜砂子

想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!

先日、Audibleで大宅邦子(おおやくにこ)さんの『新版 選んだ道が一番いい道』を聴きました。    



大宅さんは1974年にANAへ入社し、客室乗務員として初めて65歳の定年まで飛び続けた方です。
45年間のCA人生では、ANAが国際線の定期便を就航する際のプロジェクトメンバーとしてサービスづくりに携わり、
主に国際線のファーストクラスで乗務。教育訓練部の教官として後輩の育成にも携わりました。
滞空時間は3万時間を超えるそうです。



本書は2019年に刊行された『選んだ道が一番いい道』を加筆・再編集したもの。
出版社では、この本に込められたものを「地に足をつけ長く続けることの尊さと、そのための小さな工夫」と紹介しています。

華やかな経歴ですが、この本に書かれているのは、華々しく何かを成し遂げるための方法ではありません。
むしろ印象に残るのは、目の前のことを丁寧に行い、小さな工夫を重ねながら、長く続けていくことの大切さでした。

大きく変えることだけが「変化」ではない

特に心に残ったのが、「変化」についての考え方です。
本には、「靴を履き変える変化もいい、同じ靴をはき続ける変化もいい」という言葉が出てきます。

仕事を変える。
住む場所を変える。
これまでとはまったく違うことを始める。

一方で、同じ仕事を続け、同じ場所にいながら、昨日とは少し違うやり方を試してみる。
もっとよい方法を考える。慣れてきたからこそ、あえて基本に戻る。
そういう変化もあります。

外から見れば何も変わっていないように見えても、その人の中では少しずつ景色が変わっている。
私はこの考え方がとてもいいなと思いました。

コツコツ続けることが好きな自分が気づいたこと

というのも、私自身、もともと何かをコツコツ続けることが好きだからです。
一度決めたことをすぐに変えるより、同じことを続けながら少しずつ工夫したり、積み重ねたりするほうが性に合っています。

だからなのか、これまでも「人生を変える」「次元上昇」「ステージアップ」「覚醒」といった言葉を耳にすると、やんわりと抵抗を感じていました。

ある瞬間を境に、それまでとは違う自分になったり、今いる場所から一気に別の場所へ移ったりする。
そんな急激な変化のイメージが、私が大切にしてきた「積み重ねる」という感覚とは少し違うように感じていたのだと思います。

もちろん、そういう変化を否定したいわけではありません。
未来は今の延長線上にしかないとも思っていませんし、パラレルワールドだって結構信じています。
ただ、自分自身の歩み方としては、少しずつ積み重ねていくほうがしっくりきていました。 

でも、この本を聴きながら、ふと気づきました。
大きく変わることと、コツコツ続けることは、そもそも対極にあるものではない。

同じことを続けているように見えても、その中で考え、工夫し、昨日とは少し違うことを試していけば、人は確実に変わっていきます。
そして、小さな変化を長い時間積み重ねた先で振り返れば、自分でも驚くほど遠くまで来ていることがあります。

あるとき突然、大きく景色が変わったように見えるとしても、その前には小さな変化の積み重ねがあったのかもしれません。だとすれば、「ステージアップ」のような大きな変化と、日々の地道な積み重ねは、相反するものではないのでしょう。

今いる場所で続けながら、変わっていくこともできる。
これは、私にとってこの本から受け取った大きな学びのひとつでした。

そして、長く続けることは、毎日同じことを黙々と繰り返すことでもありません。
大宅さんの45年間もそうでした。

ANAが国内線中心だった時代から国際線へ進出し、サービスも機材も働き方も変わっていく。
その中で、自分自身も学び、新しいものを取り入れながら仕事を続けてきました。

目次には、「昨日と同じ10のうち『1つ』を新しく」という言葉もあります。
全部を変える必要はない。10あるうちの1つだけでも変えてみる。
それを繰り返していけば、1年後、5年後、10年後にはずいぶん違う場所にいるはずです。

続けるためには、むしろ小さく変わり続けることが必要なのだと思います。
これは仕事に限らないでしょう。勉強でも、運動でも、人との付き合いでも、発信でも。
同じことをただ反復するのではなく、続けながら気づいたことを取り入れ、少しずつやり方を変えていく。

そうやって積み重ねてきたものは、ある日突然手に入れたものとは違う、確かな土台になっていくように思います。

「慣れ」が一番怖いのかもしれない

本書の中で印象に残った言葉のひとつが、「生きるのに、『慣れ』はいらない」です。
長く続ければ、当然経験は増えていきます。一方で、経験を積むほど「慣れ」も生まれます。

大宅さんは45年間の乗務生活の中でも、「いつでも指差し確認」を大切にし、経験を重ねても基本を疎かにしない姿勢を貫いてきました。



長く続けているから偉いのではなく、長く続けながらも「これでいい」と思わない。
慣れているからこそ丁寧にする。何度もやっていることだからこそ、基本に立ち返る。
続けることの中で小さな工夫を重ねていくには、そんな姿勢が大切なのだと思います。

選ばなかった道より、選んだ道を育てていく

人生にはいつも選択があります。



あのとき別の仕事を選んでいたら。
あちらへ行っていたら。
違う決断をしていたら。

そんなことを考え始めれば、選ばなかった道はいくらでもあります。
本には、「選ばなかった道は忘れなさい」という言葉もあります。
選ばなかった人生が実際にどうなったのかは、誰にもわかりません。

それならば、自分が選んだ道を歩きながら、小さな工夫を重ねて、その道を自分にとっての「一番いい道」にしていく。
『選んだ道が一番いい道』というタイトルは、最初から正解の道が用意されているという意味ではなく、そんなふうにも読める気がしました。

大きく変えることで生まれる変化もある。
同じことを続けることでしか見えない変化もある。
そして、続けることと変わることは、実は反対ではない。

今までの自分を否定したり、すべてを手放したりしなくてもいい。
同じ道を歩きながら少しずつ工夫し、昨日とは少し違う自分になっていく。
その小さな変化が積み重なった先に、振り返って初めて気づくような大きな変化があるのだと思います。

コツコツ続けることを好んできた私にとって、それはとても腑に落ちる「変化」の捉え方でした。
そしてこれからも、何かを一気に変えようとするより、今いる場所で、今日できる小さな工夫を重ねていきたい。
その積み重ねの先にできた道を、いつか振り返ったときに、「この道を選んでよかった」と思えたらいいなと心から思います。







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この記事を書いた人

堀 亜砂子

堀 亜砂子

税理士・相続対策コンサルタント
~想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人

税理士歴26年、法人・個人含め13,000件以上の相談対応。
個人事務所、ビッグ4税理士法人、外資系事業会社、国税不服審判所、
資産税系税理士法人を経て2023年独立。

将来を約束した恋人が30代で急死、
その後も尊敬する上司の急逝、実母の他界など、
大切な人が突然この世からいなくなる経験を重ねたことから
生前に想いをしっかり伝え合い
その日のためにできる限りの備えをしておくことの
大切さを多くの人に伝えるべく活動しています。