相続登記、もう「そのうち」では済まされない~地元司法書士さんによる「登記制度改正セミナー」に参加して~

堀亜砂子
堀亜砂子

想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!

先日、近くのカフェで開催された、登記制度改正セミナーに参加してきました。
講師は、陽(ひなた)司法書士事務所代表の大西陽子先生。
商業登記はもちろん、相続登記や遺言、家族信託、成年後見、終活・エンディングノートの作成補助なども取り扱われており、地域に根ざした活動をされている司法書士さんです。



テーマは「住所・相続登記の義務化」など。
令和6年4月から始まった相続登記義務化に加え、令和8年2月から始まった所有不動産記録証明制度、令和8年4月から始まる住所・氏名変更登記義務化、スマート変更登記など、最近の登記制度改正について学ぶ機会となりました。

相続の仕事をしていると、不動産の名義変更は避けて通れません。
制度そのものも興味深かったのですが、今回のセミナーでは別の意味でも感慨深いものがありました。

4年前の自分との再会

さかのぼること約4年前。
2022年7月、同じく地元で開催された「Happy Endingカード」のワークショップに参加したのが、大西先生との最初の出会いでした。

Happy Endingカードは、「死ぬまでにやらなくても構わないこと」と、「死ぬまでにやっておきたいこと、やらないと後悔すること」を整理しながら、自分にとって本当に大切なことを見つけていくカードです。

当時の私が「まず取り組むこと」として選んでいたのは、「普段から自分の病歴や持病についての情報を整理し、持ち歩いている」というカードだったようです。

そのときの経験について、私はFacebookの投稿で、「誰もがHappy Endingを迎えられる世の中づくりに貢献したい」としめくくっていました。
あらためて読み返してみると、少し照れくさい気持ちになる一方で、どこか嬉しくもなりました。

あの頃の私と、今の私

2022年7月当時、母はすでに施設で暮らしていました。
私は母の変化を見守りながら、これからの人生や備えについて考える機会が増えていた頃だったように思います。

そして、その年の11月に母を見送りました。
母が遺してくれた手紙や財産の整理、そして様々な準備のおかげで、私たち家族は大きな混乱なく相続手続きを進めることができました。

一方で、仕事では相続や認知症対策、生前対策のご相談に日々向き合っています。

親御さんが認知症になってしまった。
相続登記が何十年も放置されていた。
財産の内容がまったくわからない。
家族で一度も話し合ったことがない。

実際のご相談や、相続の現場に関わる中で、そうしたお話に触れる機会があります。
そのたびに、もっと早く知っていれば、もっと早く話していれば、違った形で備えられたのかもしれないと感じます。

振り返ってみると、あの頃から私の関心はずっと、「大切な人が困らないようにするための備え」に向いていたのだと思います。ただ最近は、それに加えて、「自分自身が安心して豊かに生きるための備え」という視点も強くなってきました。

昔はどちらかというと、「残される人のために」という気持ちが中心だったように思います。
でも今は、自分が安心して暮らせること。自分らしく人生を楽しめること。自分の意思を伝えられること。

そうしたことも同じくらい大切だと感じています。
そして不思議なことに、自分自身を大切にすることは、結果として家族や大切な人の安心にもつながっていくのだと思うのです。

制度は変わっても、本質は変わらない

今回のセミナーでは、

・相続登記義務化
・所有不動産記録証明制度
・住所・氏名変更登記義務化
・スマート変更登記

などについて学びました。

所有不動産記録証明制度については、以前このブログでも取り上げました。

そのときは制度の概要や、不動産の把握が相続登記の前提になることを中心に書きましたが、今回のセミナーで相続登記義務化や住所変更登記義務化とのつながりも含めて、あらためて全体像を整理することができました。

背景にあるのは、所有者不明土地や空き家の増加という社会問題です。
相続が発生しても名義変更がされない。住所変更が行われない。相続人が何代にもわたって増えてしまう。

そうした状況が積み重なり、所有者がわからない土地が全国で増え続けています。
そのため現在は、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内の相続登記申請が義務化されています。
また、令和8年4月からは住所や氏名の変更後2年以内の登記申請義務化も開始されました。

制度の細かな内容ももちろん大切です。けれど、私が一番印象に残ったのは、その背景にある問題意識でした。
相続登記の義務化や住所・氏名変更登記の義務化は、所有者不明土地をこれ以上増やさず、不動産の権利関係をきちんと把握できるようにするための制度改正です。
そしてそれは、将来、その不動産に関わる家族や地域の人たちが困る状況を減らすことにもつながっていくのだと思います。



相続のご相談を受けていると、「そのうちやろうと思っていた」「まだ元気だから大丈夫だと思っていた」という言葉を耳にすることがあります。けれど、認知症や病気、そして相続は待ってくれません。



だからこそ、完璧な準備でなくてもいい。

まずは現状を知ること。
家族で話してみること。
気になっていることを書き出してみること。

そんな小さな一歩が、未来の安心につながります。

4年前に体験したHappy Endingカードも、今回の登記制度改正の話も、私にはどこか共通したメッセージを伝えてくれているような気がしました。

「そのうち」ではなく、「今できることから」。

未来のためだけではなく、今の自分自身が安心して豊かに生きるためにも。
そして、その積み重ねが、大切な人の安心にもつながっていく。
そんなことをあらためて考えた午後でした。


「突然の別れ」は、誰にとっても他人事ではありません。
だからこそ、“その時”が来る前に、できる準備を。
あなたやご家族の大切な想いを、

静かに、でも確かに未来へつなげるために─


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この記事を書いた人

堀 亜砂子

堀 亜砂子

税理士・相続対策コンサルタント
~想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人

税理士歴26年、法人・個人含め13,000件以上の相談対応。
個人事務所、ビッグ4税理士法人、外資系事業会社、国税不服審判所、
資産税系税理士法人を経て2023年独立。

将来を約束した恋人が30代で急死、
その後も尊敬する上司の急逝、実母の他界など、
大切な人が突然この世からいなくなる経験を重ねたことから
生前に想いをしっかり伝え合い
その日のためにできる限りの備えをしておくことの
大切さを多くの人に伝えるべく活動しています。