「知り合い」であることと、その関係を使うこと 

堀亜砂子
堀亜砂子

想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!

しばらくやり取りのなかった方から、突然「お久しぶりです」「お元気ですか」とメッセージをいただくことがあります。    




久しぶりの連絡というのは、それだけで嬉しいものです。
ところが読み進めてみると、通り一遍の挨拶はあっても、こちらの状況には一切触れることもなく、終始ご自身の活動についてのお知らせや、何かへの参加や登録のお願いだけが並んでいることがあります。


もちろん、自分が取り組んでいることを誰かに知ってもらいたい、興味を持ってもらいたいと思うのは自然なことです。
特にビジネスの世界では、お互いに告知したり、応援したり、紹介し合ったりするのが当たり前。


起業や集客について学ぶ場などでは、何かを始めたら、まずは知り合いやSNSでつながっている人に広く知らせることを勧められることもあります。
知らせなければ、そもそも存在を知ってもらえない。
それもその通りです。


だから、こうしたメッセージを受け取るたびに、モヤっとしてしまう私の感覚は、窮屈すぎるのかもしれません。

SNSで「つながっている」ということ

今はSNSのおかげで、一度知り合った人と、その後ほとんど交流がなくても、長くつながっていることができます。
昔の同級生や仕事で一度ご一緒した人、何かの集まりで知り合った人。


中には、実際にはほとんど話したことがなく、SNSでつながっているだけという人もいるでしょう。
それでも画面上では、みんな同じように「友達」や「フォロワー」として並んでいます。


これは考えてみれば、SNSができる以前にはなかった不思議な状態です。
以前なら、何年も連絡を取らなければ自然に途切れていた関係も、今は途切れません。


近況を詳しく知らなくても、お互いの連絡先だけは残っている。
そう考えると、私たちは以前とは比べものにならないほど多くの人と「つながっている」のかもしれません。


ただ、そのすべてに同じような関係性があるわけではありません。
SNSでつながっていることと、その人との間に関係が育っていることは、やはり少し違うように思います。

私自身もやっていた

とはいえ、私自身もこうした方法と無縁だったわけではありません。


以前、ビジネスや集客について学んでいたときには、「まずは知っている人に知らせる」「SNSでつながっている人にも個別に連絡してみる」といったことを教わり、そのとおりにせっせとDMを送っていた時期もあります。


そのときは、それも一つの行動だと思っていましたし、ありがたいことに、そこから何かにつながることもありました。
だから、そういう方法そのものを否定したいわけではありません。


むしろ自分でもやったことがあるからこそ、今になって考えることがあります。
相手との関係性よりも、「まず知らせること」「行動すること」を優先していたとき、受け取る側はどんなふうに感じていただろう、と。


今振り返ると、少し申し訳なく思う相手もいます。
そしていつの頃からか、私は以前よりも増して、「誰に知らせるか」ではなく、「その人と今どんな関係にあるのか」を気にするようになりました。

自分が知らせる側になってみて

この夏に書籍を出版しました。

『“なんとなく気になる”が、最初の一歩 ~大切なのは心をつなぐ相続~』という本です。

相続の制度や手続きだけではなく、私自身が経験してきた大切な人との別れや、母が生前にしてくれていた準備などを通して、「想いを伝えること」や「残される人が困らないように備えること」の大切さを書きました。


せっかく本を出したのですから、もちろん多くの方に読んでいただけたら嬉しいと思っています。
SNSでは普通にお知らせしましたし、お世話になった方にお会いした際に手渡ししたり、日頃やり取りのある方にメールなどでお伝えもしました。


でも今回は、長く交流のない昔の知人や、SNSでつながっているだけの人に、片っ端から個別にメッセージを送ることはあえてしませんでした。


以前の私だったら、教わったとおりに、もっと積極的に連絡していたかもしれません。
それをしなかったのは、何か特別な信念があったからというより、今の自分にはどうもしっくりこなかったからです。


「知り合いだから」というだけで久しぶりに連絡し、自分のことを知らせる。
それよりも、普段からやり取りのある方や、自然な流れで知ってくださった方に届けばいい。
ましてや、SNSで繋がっているだけで会ったこともなく、相手の活動にもそれほど興味を持っていない方にまで定型文のようなお願いメッセージを送るのはだいぶ違う。そんなふうに思うようになっていました。




人との距離感についての感覚は、人それぞれ違います。
ビジネスという観点から見れば、私のやり方はずいぶん効率が悪いとも言えるでしょう。


それでも、自分が知らせる側になってみたことで、私は思っていた以上に、「今、その人とどんな関係にあるのか」を大切にしたいのだと気づきました。

昔も似たようなことが…

そんなことを考えていて、ずいぶん昔の出来事を思い出しました。
学生時代、それほど親しくなかった同窓生から、突然電話をもらったことがあります。


何だろうと思って話を聞いてみると、選挙で特定の候補者や政党への投票をお願いするものでした。
選挙運動そのものについて、ここで何かを言いたいわけではありません。


ただ当時も、何ともいえない違和感を覚えたことを記憶しています。
仲が良かったわけでもなく、普段はまったく交流がない。
けれど、何かお願いしたいことができると、「同窓生」という関係が突然よみがえる。


今になって考えると、私がそこに感じたものも、今の感覚とどこか似ていたのでしょう。
知り合いであっても、その関係を無条件に自分の目的のために使ってよいわけではない。
私は昔から、そこに少し境界線を感じる人間だったのかもしれません。


SNSのなかった時代にもこうしたことはあったわけですから、これはSNSだけの問題でも、最近始まったことでもありません。
SNSによって「つながっている人」の数が飛躍的に増え、その境界が以前より更に見えにくくなっただけなのでしょう。

関係には、いろいろな濃さがある

仕事をしていると、「人脈」という言葉をよく耳にしますが、その無機質な響きに抵抗を感じたりもします。
反対に、こちらもよく聞く「ご縁」という言葉には温かみがありますが、乱発されると違和感を感じてしまいます。




ビジネスでは、人とのつながりから仕事が生まれたり、誰かを紹介したり紹介されたりすることも珍しくありません。
私自身、ありがたいことに人から助けてもらうことが多く、誰かをご紹介することもあります。
そういう意味では、お互い様ですし、つながりを仕事に生かすこと自体を否定するつもりはまったくありません。


ただ、「人脈」という言葉を、人を何かのために利用できるネットワークのように捉えることには、抵抗があります。
また、自分もやってしまいがちですが、何でもかんでも「ご縁」でひとくくりにするのも雑な気がします。
頻繁に会っている人もいれば、何年も会っていなくても、久しぶりに話せばすぐ昔に戻れる人もいます。


反対に、SNSではずっとつながっていても、実際にはほとんど交流のない人もいます。
関係の濃さは、会った回数や連絡の頻度だけで決まるものでもありません。


だからこそ難しい。
どこまでなら自然で、どこから違和感を覚えるのか。その境界線も、人によって違います。


気にしすぎかもしれませんし、もっと気軽に考えてもよいのかもしれません。
以前の私自身も同じようなことをしていたのですから、誰かのやり方を批判するつもりもありません。


ただ、今の自分にとっては、「知り合いであること」と「その関係を自分の何かのために使うこと」の間の境界線は、より明確になったように感じます。

何でもないときにも思い出せる関係

考えてみれば、人との関係は、何か特別なことがあるときだけに存在するものではありません。
何かをお願いしたいとき。何かを知らせたいとき。誰かを紹介してほしいとき。


そんな「用事」があるときだけではなく、何でもないときにもふと思い出したり、相手の近況を気にかけたりする。
そんな小さな積み重ねの中に、その人との関係はあるのだと思います。


たくさんの人と簡単につながれるようになった時代だからこそ、「何人とつながっているか」よりも、その一人ひとりとどんな関係を築いているのかを大切にできたら、と思います。


そして、自分に何か知らせたいことやお願いしたいことができたときだけ、しまってあった「つながり」を取り出すのではなく、何でもないときにも相手を思い出せる人でありたい。相手も自分のことを思い出してくれたら嬉しいな。


以前と今の自分では、人との距離感は変わったのを感じます。
これから先もきっとまた変わっていくでしょう。
でも今は、このくらいの距離感が自分にはちょうどよいようです。





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この記事を書いた人

堀 亜砂子

堀 亜砂子

税理士・相続対策コンサルタント
~想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人

税理士歴26年、法人・個人含め13,000件以上の相談対応。
個人事務所、ビッグ4税理士法人、外資系事業会社、国税不服審判所、
資産税系税理士法人を経て2023年独立。

将来を約束した恋人が30代で急死、
その後も尊敬する上司の急逝、実母の他界など、
大切な人が突然この世からいなくなる経験を重ねたことから
生前に想いをしっかり伝え合い
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大切さを多くの人に伝えるべく活動しています。