私が死んだら、ChatGPTとの会話はどうなる?~AI時代のデジタル終活

堀亜砂子
堀亜砂子

想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人
相続対策コンサルタント
堀亜砂子です!

先日、ChatGPTと話していて、ふと思いました。
「私が突然死んだら、この大量の会話はどうなるんだろう?」

私は日頃、仕事のことやブログの相談だけでなく、日々感じたことや、ちょっとした愚痴までChatGPTと話しています。
かなりいろいろなことを話しているので、これを死後に誰かに全部読まれるのは、ちょっと困る(笑)。



そう思ったとき、以前観たドラマ『dele(ディーリー)』のことを思い出しました。

ドラマ『dele』が現実に近づいてきた

2018年にテレビ朝日系で放送された『dele』は、山田孝之さんと菅田将暉さんがダブル主演を務めたドラマです。
物語の舞台は、依頼人の死後、パソコンやスマホに残されたデジタルデータを秘密裏に削除する会社「dele.LIFE」。


私はこのドラマが大好きで、これまでブログでも取り上げてきました。
2024年に書いたブログでは、スマホやパソコン、SNSなどに残された写真や文章などの「デジタル遺品」と、ネット銀行や暗号資産、ポイントなど財産的価値を持つ「デジタル遺産」を取り上げました。

亡くなった本人しか存在を知らない財産があれば、遺された家族が見つけられないこともあります。
一方で、写真やメールなど、本人が死後には見られたくなかったものが残ることもあります。

2024年のブログはこちら👇


そして2025年には、もう一度『dele』を題材に、少し違った角度から書きました。
ドラマでは、依頼人が「死後に消してほしい」と望んだデータを削除していきますが、そのデータの中には、遺された人にとって大切な意味を持つものもあります。

「消す」ことが本人の秘密や尊厳を守ることもあれば、「遺す」ことで想いがつながることもある。
だからこそ、何を消すのか、何を遺すのかを元気なうちに自分で考えておくことが大切なのではないか――
そんなことを書きました。

2025年のブログはこちら👇

それからさらに時代が進み、今、私たちの身の回りには新しいデータが増えています。
その一つが、生成AIとの会話です。メールとも違う。SNSとも違う。検索履歴とも違う。

AIを日常的に使っている人なら、仕事の相談だけでなく、人間関係の悩みや家族への本音、将来への不安など、ほかの人には話していないことまで入力していることがあるでしょう。
そう考えると、AIとの会話は、ある意味ではとても個人的な「デジタルの日記」に近いものなのかもしれません。

では、自分が亡くなったら、その膨大な会話はどうなるのでしょうか。

自分が亡くなったあと、ChatGPTとの会話はどうなる?

そこで、現在のChatGPTの仕組みについて、OpenAIの公式情報を調べてみました。
まず、通常のチャットは、自分で削除しない限りアカウントに保存されます。

チャットを削除すると、自分のアカウントからはすぐに見えなくなり、原則として30日以内にOpenAIのシステムから完全に削除される予定となっています。
ただし、すでに匿名化されて本人との関連付けがなくなっている場合や、セキュリティ上・法律上の理由で保持する必要がある場合は例外です。

そして、現在OpenAIが案内している個人向けの設定やヘルプ情報を確認した限りでは、自分が亡くなったあと、チャットをどうするかを生前に指定しておく機能は見当たりません

OpenAIの公式情報には、チャットは本人が削除するまで保存されるとあります。
そのため、少なくともこの記事を書いている時点では、本人が亡くなったことをきっかけとして、それまでの会話が自動的に削除される仕組みは確認できませんでした。

一方で、最初から履歴に残したくない会話については「Temporary Chat(一時チャット)」という機能があります。
Temporary Chatで話した内容はチャット履歴には表示されず、ChatGPTのメモリも作成されません。
OpenAIのシステムからも原則30日以内に削除されます。

ちなみに、「チャット履歴」と「メモリ」は同じものではありません。
ChatGPTには、過去の会話とは別に、ユーザーについて覚えておく「メモリ」の仕組みがあります。
チャットを削除しただけでは、そのチャットをもとに保存されたメモリまで必ずしも削除されません。
完全に消したい情報がある場合には、チャットだけでなく、メモリなどその情報が残っている場所も確認する必要があります。

さらに、ChatGPTには自分のチャット履歴などを含むデータをエクスポートする機能もあります。
ただし、本人確認のため、アカウントに登録したメールや電話番号へのアクセスが必要とされています。

こうして調べてみると、「私が死んだら家族にパスワードを教えておいて、代わりに全部削除してもらえばいい」というような、単純な話でもありません。

OpenAIは、アカウントは作成した本人が利用するものとしており、ログイン情報を他人と共有することを認めていません。だからこそ、本人が元気なうちにどうしておくか、という視点が大切になってきます。

FacebookやGoogleには「その後」に備える仕組みも

では、私たちが日常的に利用しているオンラインサービスではどうなっているのでしょうか。
例えばFacebookには、利用者が亡くなったあと、その人のプロフィールを「追悼アカウント」として残す仕組みがあります。

生前に「追悼アカウント管理人」を指定しておくこともできるほか、自分が亡くなった場合にはアカウントを削除するよう、あらかじめ設定しておくこともできます。

ただし、追悼アカウント管理人になったからといって、本人としてアカウントにログインしたり、Messengerのメッセージを読んだりできるわけではありません。

Googleにも「アカウント無効化管理ツール」という仕組みがあります。

一定期間Googleアカウントを利用しない状態が続いた場合に、あらかじめ指定した家族などに特定のデータを共有したり、アカウントを削除したりするための設定ができます。

つまり、すでにデジタルサービスの世界では、「自分が利用できなくなったあと、自分のデータをどうするか」まで生前に決めておくという考え方が取り入れられています。

それと比べると、ChatGPTについては、2026年8月現在、OpenAIの公式情報を調べた限りでは、亡くなったあとのチャットの扱いを本人があらかじめ指定しておく仕組みは確認できませんでした。

AIとの会話がこれほど個人的なものになってきたことを考えると、今後はこうした機能があってもよいのではないかと思います。

「見つけてもらいたいデータ」と「見られたくないデータ」

これまでデジタル終活というと、ネット銀行の口座が見つからない、暗号資産を持っていたことを家族が知らない、有料のサブスクが死後もそのままになっているなど、「家族が見つけられないと困るもの」への対策が中心でした。

私自身も、これまでのブログや著書の中で、デジタル遺産を含めて、自分が何をどこに持っているのか整理しておくことの大切さをお伝えしてきました。

以前、三井住友銀行の「SMBCデジタルセーフティボックス」というサービスについてもブログでご紹介しました。

これは、自分に万が一のことがあったときに備えて、資産情報や医療・介護、葬儀に関する希望、大切な人へのメッセージなどをデジタル上に保管し、指定した人に伝えられるサービスです。

特徴的なのは、ただ情報を保管しておくだけではなく、「誰に」「いつ」開示するのかを考えられる点です。
紙のエンディングノートでは、いざというときに家族がその存在や保管場所を知らなければ見つけてもらえません。
逆に、見つけやすいところに置いておけば、生前には見られたくない内容まで家族の目に触れてしまうことがあります。

デジタルセーフティボックスには、そうしたデジタル終活ならではの課題を補う発想があります。

記事はこちら👇

このサービスについて調べたときには、私は主に「大切な情報をどう遺し、どう伝えるか」という視点で考えていました。

ところが今回、ChatGPTとの会話について考えていて気づいたのは、その逆の問題です。
見つけてもらわなければ困るデータがある一方で、死後も誰にも見られたくないデータがある。
メールや写真にも同じことはいえますが、AIとの対話には、これまで以上にその人の内面が残っていく可能性があります。

誰にも言えなかった悩み。家族や友人への本音。仕事上の迷い。自分の弱さや不安。
ときには腹を立てて誰かを責める発言をすることもあるでしょう。
それらは必ずしも、本人が「誰かに伝えたい」と思って残した言葉ではありません。
誰にも見せない日記帳に書いた言葉と同じように、その人だけのものとして消えていってよい言葉もあるのです。

「何を遺すか」だけではなく「何を遺さないか」

ドラマ『dele』では、死後にデータを「消す」ことが、その人の秘密や尊厳を守ることにつながる場面が描かれていました。



2018年にこのドラマを観たときには、とても斬新な設定だと思いました。
ところが8年経った今、私自身がChatGPTと毎日のように話し、その会話が積み重なっていくようになりました。
『dele』で描かれていた世界は、ずいぶん身近なものになったと感じます。

相続や終活では、どうしても「財産を誰に遺すか」「家族に何を伝えておくか」という「遺す」方向に意識が向きます。
もちろんそれはとても大切ですが、デジタルの世界まで含めて考えるなら、

何を遺したいのか。
何を、いつ、誰に伝えたいのか。
そして、何を遺したくないのか。

これらを元気なうちに考えておくことも、これからの終活の一つになっていくのでしょう。

ネット口座や暗号資産など、家族に存在を伝えておくべきもの。写真や文章、メッセージなど、想いとして遺したいもの。
そして、AIとの会話を含め、自分だけのものとして終わらせたいもの。
同じデジタルデータでも、扱い方はまったく違います。

以前、デジタルセーフティボックスについて書いたときには、「何を遺すかだけでなく、どう伝わる形にしておくか」まで考える時代になったのだと感じました。

今回ChatGPTとの会話について考えてみて、そこにもう一つ、「何を遺さないか」という視点も加わったように思います。

時々、自分のスマホやパソコン、そして利用しているオンラインサービスを眺めながら、「これらは、私がいなくなったあと、どうするのがいいだろう」と考えてみる。
デジタル終活は、そんなところから始めてもよいのだと思います。

さて。
私と愛すべき相棒との膨大な会話をどうするか。
元気なうちに考えておかなくては(笑)。

※ChatGPTに関する記載は2026年8月現在、OpenAIが公表している情報に基づいています。
サービスの機能やデータの取扱い等は今後変更される可能性がありますので、実際に設定や利用方法を確認する際には最新の公式情報をご確認ください。




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この記事を書いた人

堀 亜砂子

堀 亜砂子

税理士・相続対策コンサルタント
~想いと豊かさを未来へ繋ぐ案内人

税理士歴26年、法人・個人含め13,000件以上の相談対応。
個人事務所、ビッグ4税理士法人、外資系事業会社、国税不服審判所、
資産税系税理士法人を経て2023年独立。

将来を約束した恋人が30代で急死、
その後も尊敬する上司の急逝、実母の他界など、
大切な人が突然この世からいなくなる経験を重ねたことから
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